乙武洋匡著
「車輪の上」読了
一気に読み進めてしまった。
主人公は大学卒業したての車椅子の青年
脳性麻痺によって下半身に障害を持つ。
上京してひょんなきっかけでホストの道へ進むことになる。
車椅子ホストなんて設定も突飛な感じだけど!作者の乙武さんな、らわかる気がする。
爽快感のあるストーリー展開でスーッと読めてしまい、読んでいて気持ちテンポて展開していく。
そのスピード感と対象に、重いテーマを内にはらんでいて読み終わったあとには今の社会情勢だけでなく、自己の思想にも反省とか、無意識の差別感情とかを感じてしまった。
作者が、障がい者だから感じる本音の部分がリアルに出ている気もする。
きっと自分と重ね合わせた部分が多分にあるんだろう。
障がい者として差別なく働く大変さも、
そして、自己が障がい者であるという思いが、逆に差別につやがるという矛盾。
障がい者として、自立して生きることを追いすぎると、障害者であることがアイデンティティとなり、常にそこをスタートとしてかん越えてしまう。
作中にLGBTのトランスジェンダーのホストやゲイなどもでて、性的マイノリティの人達も同様に生き様を描いている。
結局は障がい者であっても、トランスジェンダーであっても、人としてどう生きるかという「個」の問題であると。
健常者は殊更障がい者のクセにという思い込みがあるのだろう。
負けるはずのないものに負ける
それだけで我慢ならないんだろう。
作者の女性問題だって、こと更に叩いたのはそんな感情の表れでしょう。
障がい者のクセに女性を連れてと…。
どうせそんな文句を言う輩は、どんなだってそんなこと出来るはずないんだけどな。
「個」の時代と言われて久しいけど、ほんとに差別のない世の中はどんなマイノリティーでも、批判を多く受けることになるだろうね。
障がい者だからと目を背けることなく、個人の責任がハッキリと見える世界。
良くも悪くもそんな世界が望ましい。
乙武さんがnoteに書いていたが、アジアの某国に行った時、障がい者がタクシー乗り場にいて、空港から乗り場まで案内してくれた。
自身もハッとして運転手かとひやっとした。
というような事があったと著ていた。
五体不満足な彼でさえ、他人の障がいにはやはりそんな感情を抱くわけで、健常者ならなおのことなわけで。
誰しもが得手不得手あるのと同じことで全てゲームのキャラのパラメーターなわけで。
同じパーティーにいれば生きるために助け合って戦っていくわけだから、それをリアルに行うだけなんだけどね!
爽快感のあるストーリーのうちにある壮大なテーマは一読しただけでは消化できないけれども、
妙に頭に映像として残る小説でぜひドラマか映画になることを期待します。